絵巻で見る・読む徒然草
言わずと知れた古典です。しかし、恥ずかしながら、序段の「徒然なるままに…」や仁和寺の法師のエピソードくらいしか知りませんでした。
キャッチーな現代語訳と江戸時代の絵師・海北友雪の描いた絵巻が実に鮮やかでした。
人付き合いのヒント、教養と振る舞い、日常、心、生き方などテーマごとに分かれた展開になっています。
さて、金融教育の実践、発表を終えたばかりのアンテナは「第二百十七段」に反応しました。
「ある大福長者の云はく、人は、よろづを差し置きて、ひたふるに徳をつくべきなり。貧しくては、生ける甲斐なし。富めるのみを、人とす。すべからく、まづ、その心遣ひを修行すべし」(下略)
本書の訳)ある大金持ちが言った。「人はとにもかくにも財産を築くこと。貧しいと生きている価値がない」と。しかし、散財するからと交遊を絶つ生活は幸せなのか。貯蓄は願いを叶えるためにするもので、お金があっても使わないのならば、貧乏人と同じ。お金を貯めるために願望を捨てる必要があるならば、はじめから財産などないほうがよい。大欲は無欲に似ている。
せっかく貯めたお金も有効に使わないとあんまり意味がないってことですかね。
吉田兼好さんは、人間の魅力やおかしさを鋭い洞察力で切り取っています。
本書の解説には自由に書き綴ることで、自分自身の深層のテーマが浮上してくるのを待ったのではないだろうかと記されていました。
心に移りゆくよしなしごとを綴ることを続けていけたら、私なんかにも見えてくるものがあるのかもしれません。