三千円の使いかた
原田ひ香さんの「三千円の使いかた」という小説を読みました。
三千円のかしこい使い方とか運用の小説なのかな?などと思いながら小説のタイトルになんとなく惹かれ、買ってみました。
読んでみると、都内の市井のありふれた家庭に生まれた24歳の女性、その姉夫婦、両親、祖母、祖母と仲良くなるフリーター男性のそれぞれの視点で物語が進む群像劇でした。彼氏とのすれ違いと新しい出会い、熟年の経済学、若い夫婦の節約術、決めきれない結婚といった各世代の葛藤を軸に展開していくので全世代に響く内容だと思います。
随所にさりげなく登場するインデックス投資、家計簿、奨学金返済、貯金、年金、介護事情、iDeCo、複利効果などのお金に関する知識についても、さらっと盛り込まれ、とっつきやすを感じました。
投資の本では、敗者のゲーム、ウォール街のランダムウォーカーなどをおススメされていますが、ある意味、身近でお金のリアルな生活臭がする話題で読みやすく、結末はハートウォーミングなものでした。
「お金や節約は、人が幸せになるためのもの。それが目的になったらいけない。」
登場人物である73歳の祖母のこの言葉が本質を突いているような気がしました。