そろそろ、部活のこれからを話しませんか
中沢篤史さんの「そろそろ、部活のこれからを話しませんか」(大月書店,2017)を読みました。
日本の学校に在籍した多くの方が部活動にまつわるストーリーをお持ちだと思います。
また、ご自分の経験から、部活動へのそれぞれの思い入れがあるのではないでしょうか。
もれなく私もそうです。
学生時代は、良いも悪いも学校生活における比重が高かったように感じます。
楽しかったことも割り切れなかったこともあります。
また、教員として働き始めてからもそうでした。そのころは、小学校にも部活動があり、平日は19時まで活動、土日は、ほぼ返上でした。
初任だった自分は、まず授業や学級経営に重きを置きたいという気持ちを抱えました。
試合に勝ち進んでいくことで自分の予定を変更・キャンセルしなければいけない!と思うこともありました。かといって懸命に取り組む子供たちの姿を見て、そんな思いを抱く自分は不純なのかと葛藤していました。
うーん、若いですね。
本書では、日本の部活動が海外からAmazing,それともCrazyと思われていること、
日本の部活動の起源(明治時代、東大から始まったこと)、置かれている時代背景からの影響、「自主性」の一人歩き、「不良×部活=感動」のメディア戦略、死亡事故、教員の働き方、生徒の部活動の捉え方などについて多角的に触れられています。
ところで、自分にとって楽しみな予定を組んだとします。それを待っているときが、実は一番、楽しいと感じたことはありませんか。
明日、部活動があるから楽しみという人もいれば、その逆もいます。もし、部活動が楽しくないものになっているとしたら、そのコミュニティに居続ける意味は何なのか。教員も子どもも、部活動以外にも楽しみを見出すことを考えてよいのではないかと思います。
部活動。やりたい人、やりたくない人、高みを目指す人、サボりたい人、リフレッシュでいい人。部活動より大切なものがある人…。
教師も子供もいろんな人がいます。また、経験してきたものから部活動の捉え方も千差万別です。
これだけ日本に普及しているものを、どのようにベターにしていくか。
教育現場にいる私たちだけでなく、さまざまな立場の人に考えてもらい、さまざまな人の対話を促していく必要を感じました。それが筆者のねらいでもあるようです。
一読の価値、ありです。