道徳の「徳」は「得」
研究室では、道徳の徳は、行きつくところ損得の得。モラルを押し通そうとすると続かないという話をよくします。
大体、自分という怠惰で欲深で愚かな人間が、子どもたちに人の道を説けるだけの徳はない。
これに初任のときに気付いてしまい、自分なんかが道徳の授業をしていいのかなあとちょっと葛藤したこともありました。(心の中にそっとしまいました…)
というわけで、不詳の身ではありますが、道徳の授業について考えてみました。
さて、小学校の道徳の内容項目を見ると、
・善悪の判断・正直、誠実・親切、思いやり・感謝・生命の尊さ・・・etc.
といったものがあります。なんだか、どれも大事そうです…。
また、道徳的実践意欲や態度というものもありますが、これらは、
①「情けは人の為ならず 巡り巡って己がため」
②「人の振り見て我が振り直せ」
がポイントだと捉えています。
①は、自らの行為と周囲のフィードバックを経験するなかで「あ、なんか自分も得している。これは続けた方が自分のためにもなるなあ」とお得感をシンプルに感じていくことです。
②は、子ども集団の中には、何が良くて何が悪いのかは分かっている子がいます。仲間の姿や行為を見て、感じて、自分もやってみようしたり、行動を改めようとすることです。
ちゃんとお礼を伝え、気持ちのよいあいさつをする人は好感をもたれるでしょう。困っている人を助けたら、いつか自分が助けてもらえるかもしれない。試合後のロッカールームを綺麗にしたら、世界中からリスペクトされるかもしれません。
一方で、傍若無人や品のない行為が続くと、その結果どうなるか。人の言動を見て、感じて、自分たちの得になる行動を判断・実行することが大事なのではないかと思います。
私は道徳の徳=損得の得という考えに納得しています。納得しているからこそ、不詳ながら、あいさつや感謝、礼儀、品のある行為を心がけようとしているし、子どもたちに向かって、君たちもやったらいいんじゃない?と、ゆる~く言えるようになりました。なにより、子どもたちに得してほしいし、自分なんかより徳のある人たちになれると思うからです。(既に自分より徳の高い子どもは、結構います。)