発話分析
所属している研究室では、子供たちにボイスレコーダーを装着し、その発話を研究材料とします。これらの発話記録を取りまとめるのは、なかなかにハードな作業なのですが、聴いていると様々な発見もあります。子供たちの発話分析は宝探しのようだという考えも頷けます。
現在、金融教育の授業実践の発話起こしをしていますが、子供たちは実にさまざまなことを語り合っています。
以下は小学生の「マネープランゲーム」(イメージとしては「人生ゲーム」+支出入の計算をグループで行う)の発話。ほんのごくごく一部の切り取りです。
・これさ、結婚しないほういいね。あ。けど結婚して二人とも働くならありか…。
・この仕事、昇給とかねえの?
・収入カードまぜまぜしよう。まぜまぜしたほうがメンタリスト的に…。
・いや、この辺から人生の運があがってくる。人生大逆転。
・港区とかだったら、土地代やばいんじゃね。
・うーむ、事故物件に住むしかないねぇ。
・結婚費用ってちょっと高いな。新婚旅行、行かなきゃいいんじゃね。え?事実婚ってなに?
・(結婚カードを引いて)働くのは1人。やばいやばいやばい。
・まあ、今まで充実してるやん。
・これで貯蓄が1400万円になりました。マイナスのほうで。
・家は豪華にしよう。(すかさず友達からアスカ・ラングレーの「あんた、バカァ」?的なリアクションを受けて)じゃあ、標準にしよう…。
・保険カード買っておいてよかった。頼れるな…。
小学生もさまざまなことを考えたり、友だちから知らなかった言葉の意味を聞いたりしているのが如実に分かります。
発話を聞くまでは、こんなやり取りがあったことまではわかりませんでした。
目まぐるしい思考過程やその変容を見とるというのは、普段の授業ではなかなか難しい。おそらくできないでしょう。
ということで、子どもの生の声を聞けるというのは、ものすごく価値あることだと思って発話を起こしています。
しかし、たった1人の子の思考過程でさえ、本当に様々なタイミングで縦横無尽に変化しています。聴きながら、いろいろと考えさせられます。